ポルトガル語研修

語学研修が始まって7ヶ月が経過した。残り5ヶ月でブラジル人と仕事ができるレベルにまで語学能力を上達させなければならないことに少しずつ焦りを感じている。1年間仕事をせず語学だけに全時間をベットすれば簡単に上達すると思われているが、現実はそこまで甘くない。僕は学生の頃から語学学習が好きだったし、向いていると思っていたが、与えられた1年間では到底足りず、皆さんが想像するレベルにまで到達するにはトータルで2.5年くらいは少なくともかかるという印象を持っている。というのも、語学学習の成長には段階がありネイティブのレベルにまで到達するためには、単に勉強量を積み重ねれば良いわけではなく、一定程度の時間の経過(経験の蓄積、順応)が必要だからだ。だからといって日々の単語・文法学習を放棄していいわけではなく、そういった基礎練習を日々黙々とやっても2.5年かかるという意味なので、僕も毎日必死にコツコツと頑張っている。

 

語学能力はスピーキング、リスニング、リーディング、ライティングのたった4種類だが、必要となるスキルは非常に細かく多岐に渡る。例えば、スピーキングひとつとっても以下のようなスキルが必要となる。

 

  • 話したい内容を正しい単語を用いて誤解なく伝えられる
  • 時制を正しく表現できる
  • 発音・イントネーションよく話せる
  • 論理構成の組み立て方がネイティブに近い
  • ネイティブの間合い・ジェスチャーを真似できる
  • 尊敬語・謙譲語・丁寧語を適切なレベルで使用できる
  • 書き言葉と話し言葉を区別できている

 

スピーキングに関連するスキルを列挙したが、そもそもスピーキングは会話を構成するひとつの要素でしかないので、相手の言っていることが分からない場合(リスニング能力が不十分な場合)、上記のスキルは役に立たない。故に上に挙げた項目は必要条件の半分に過ぎない。ただ実際はネイティブが非ネイティブの言っていることを理解しようとする歩み寄りの姿勢が働くため、どれかが欠けていても会話は成立する。よって上記に挙げた項目の全てが本当に必要かと言われるとそうではない。ただし、僕は完璧なポルトガル語スピーカーを目指しているので、そういったネイティブがこちらの言っていることを理解しようとしてくれるサポートは期待しないようにしている。列挙した全てのスキルを漏れなく上達させるための練習を日々行なっている。

 

そしてこういったスキルを伸ばしていくために取り組むべきことは多くある。

例えば一番最初に挙げた「話したい内容を正しい単語で誤解なく伝えられる」ようになるために、僕が習慣にしていることは以下の通り(授業の中で話した内容を先生に適宜修正してもらっているが、それは自分一人で取り組む努力とはニュアンスが違うのであえてここでは記載していない。ただし、それがもっとも重要であることは言うまでもない。)

 

  • 邦画のポル語訳参考
  • ニュースからイけている表現をPick up
  • 視線に入った物象・概念を説明し、説明できる事象・概念を増やしていく
  • ポル・ポル辞典の活用
  • 一人会話

 

(それぞれがどのような取り組みかについての説明は面倒なので割愛)

 

ここまで細かくやっても7ヶ月では満足するレベルには到底到達できていない。

日本の英語教育をディスる人がいるが、大体の指摘は見当違いで、そもそも必要な単語量を保有していないことや上達に必要なスキルを主体的に学習しようとしていない学生側の姿勢が問題なのではないかと考えている。学校教育で補える範囲で英語能力を上達させられると考えているその前提が間違っている。他言語を習得するために必要な工程数は膨大で、学習中の外語国圏に住まない場合は5年弱くらいかかるのではないかと思う。磨くべきスキルとそのためにやるべきことは本当に多くある。語学学習は地味で、ネチネチと変態的に取り組まないと成果が出ない。

 

駐在地Belo Horizonteでの一枚。

 

いつも通りダラダラと書いたが、最後に。

「ネットに向かって打つんだけど、ネットに向かって打ったらうまくならない。」

 

僕の大学時代の恩師の言葉。ポルトガル語を学ぶために、ああでもないこうでもないと日々いろいろな努力をする。しかし、最終的にキレのあるポルトガル語が必要とされる緊迫感あるビジネスの場で力を発揮できるよう、その緊張感をイメージし、今その瞬間に学んだ単語や文法が実際の場でどのようにいきるのか・活かせるのかを考えながら取り組まないと本当の力にはならない。

 

残り5ヶ月間、やるべきことを積み重ねていく。